音信不通の親族がいると、墓じまいは進められないのか
墓じまいを進めようとしたとき、意外な壁になるのが「連絡が取れない親族」の存在です。
兄弟が疎遠になっている、いとこの居場所が分からない、そんなケースは珍しくありません。
結論から言うと、連絡が取れないという理由だけで墓じまいを諦める必要はありません。
ただし、正しい手順を踏まないと後からトラブルになることもあるため、この記事で進め方を整理します。

- 親族の中に連絡先が分からない人がいる
- 疎遠になった兄弟・親戚に今さら連絡しづらい
- 連絡が取れないまま墓じまいを進めていいのか不安
なぜ「親族全員の把握」が必要になるのか
改葬許可の申請で何を出すかは、市区町村ごとに決まっています。福岡市の案内で必要とされているのは、改葬許可申請書2部(今の墓地・納骨堂の管理者が「埋(収)蔵証明」を記入)、印鑑、代理で申請する場合の委任状で、親族全員の同意書は挙げられていません。ただし申請者が墓地の使用者(名義人)でない場合は、申請書の「承諾書」欄に使用者本人の記入が必要です。
ただ、あとから「知らない間にお墓を動かされた」ともめないためにも、連絡のつく親族には前もって知らせておくのが安心です。
福岡市以外の市区町村や、お寺・霊園の管理者が、別の書類を求めることもあります。
今のお墓がある市区町村の窓口と墓地の管理者に、具体的な状況を伝えて確認するのが確実です。
墓じまい全体の手続きの流れや費用についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
連絡が取れない親族を探す3つの方法
- 戸籍の附票を取得する:本籍地の役所で戸籍の附票を取ると、その人の住民票上の住所の移り変わりが分かります。ただし、請求できるのは本人と配偶者、直系の親族(親・祖父母・子・孫など)で、兄弟やいとこなどは、正当な理由を申し出て市区町村長に認められた場合に限って交付されます(住民基本台帳法 第20条)。請求できるかどうかは、本籍地の役所に先に確かめましょう。
- 内容証明郵便で連絡を試みる:住所が分かったら、墓じまいの経緯と連絡先を記した手紙を内容証明郵便で送ります。送った事実が記録に残るため、後日「知らせていない」という誤解を防げます。
- それでも返信がない場合は記録を残す:一定期間待っても反応がなければ、送付した記録と、連絡を試みた経緯をメモや写真で残しておきましょう。後から状況を説明する際の材料になります。
疎遠な親族への連絡は気が重いものですが、身構えすぎる必要はありません。墓じまいを考えている理由と今後の予定など、事務的な事実だけを簡潔に伝える形で十分です。
どうしても連絡が取れないまま進めたい場合
戸籍を辿っても住所が分からない、手紙が宛先不明で戻ってくる、というケースもあります。
その場合は、自己判断で手続きを進めるのではなく、必ず自治体の窓口か専門家(行政書士・弁護士)に相談してください。
状況によっては、家庭裁判所の手続きを含めた対応が必要になることもあります。
費用や時間はかかりますが、後々のトラブルを避けるためには欠かせないステップです。
親族への伝え方で気をつけたいこと
疎遠になった経緯は家庭によってさまざまです。
過去のいきさつに触れず、「お墓の維持が難しくなったこと」「今後の供養先」という事実だけを伝えることで、余計な感情的な対立を避けやすくなります。
返信が来なくても、責めるような催促は避けましょう。
相手にも事情があることを踏まえ、淡々と手続きを進める姿勢が結果的にスムーズです。
連絡がついた後に、今度は親族から墓じまい自体に反対されるケースもあります。
その場合の説得のステップについてはこちらの記事で解説しています。
まとめ:連絡が取れなくても、手順を踏めば前に進められる
親族と連絡が取れないことは、墓じまいを止める理由にはなりません。
戸籍調査・内容証明郵便・専門家への相談という手順を踏めば、着実に前に進められます。
不安な場合は、自己判断せずに自治体や専門家、そして霊園・寺院にも相談してみてください。
この記事の出典
福岡市「改葬許可申請の手続きについて」(https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/seikatsueisei/life/kurashinoeisei/kaisou.html)、e-Gov法令検索「住民基本台帳法」第20条(https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000081)。いずれも2026年9月に確認しました。